【建築模型講座】建築学生さんへの特別講義(作り方4割:雑談6割!?)その内容とコンセプトとは?

高校や専門学校からのご依頼で年に1度の特別講義をさせて頂くことがあります。とは言っても、単に建築模型の作り方だけをお伝えしているわけではありません。そこで今回は、建築模型特別講義のコンセプトと内容をご紹介します。

年に1度の特別講義

tecoに模型の講座を依頼してくださる高校や専門学校がいくつかありまして、今回は浅野工学専門学校(建築工学科)の皆さんへの講義内容を共有しようと思います。もちろん、巷の通信講座では絶対教えないのに本当はかなりのウェイトで重要な技術や知識、将来に向けた大きなヒントも満載です。

約3時間の特別講義でした

その前に、tecoは年に一度の講義以外はお断りしています。ごめんなさい。年に一度だから伝えられること、意外と知られていないことをギュッと凝縮してお伝えする「目からうろこの”雑談”」をしています。なものだから、模型の作り方だけの講座には納まりません。

先生に怒られるんじゃないかってくらい脱線気味の内容もありますけど、いつもリピートしてくださって感謝です。毎年最新ネタを加えて各学校に会いに行くのを楽しみにしています。

浅野工学専門学校

今回お邪魔した神奈川県横浜市にある浅野工学専門学校についてです。建築士を目指す学生が対象で、一人ひとりが理解するまで教育を行うことをモットーにしている専門学校。学生が即戦力となれるよう、在学中の資格取得サポートも提供しています。また、オープンキャンパスや無料資料請求の申し込みも随時受け付けていますので気になる方はチェックしてみてください。

浅野工学専門学校公式サイト https://ssl.asano.ac.jp/

学校のウェブサイトには、学校の紹介、学びの理念・特色、創設者の紹介・沿革、職業実践専門課程の認定、教育の特色、建築工学科、建築デザイン科などの情報が掲載されています。また、受験生・保護者向けの情報や、就活への支援についての情報も提供しています。さらに、学校の最新情報やイベント情報も掲載されています。

講義内容公開!

では講義の内容を公開したいと思います。まずは目次をご覧ください。2023年6月7日に使われた資料の目次となります。

前半はともかく、後半の「実技」「話題」に関しては(はてなマーク)かと思います。特に「話題」については一般の方にとってはどのように建築に関係しているか分からないことかと思います。では一つ一つ説明を加えていきます。

はじめに

まずは、ウォーミングアップとして、関東にある建築模型が常設で観られる場所をいくつか紹介しています。そのうちの一つを紹介すると、新宿3丁目にある「棲家アーキテクチャカフェ」。tecoの運営するコミュニティ「新もけると談話室」から初めて作品が誕生したのがこのカフェ主催のコンペでした。

このカフェでは、有名建築家のかなり精度の高い住宅模型十数点を展示していて、昼はカフェ、夜はバーとして利用することができるなかなか雰囲気の良い場所です。ちょっと分かりづらい場所なので初めて行く時は気を付けてください。

その他にも建築模型に特化した場所ばかりを紹介しています。

模型って何?

模型の起源や種類についてのお話をサラッとしています。例えば、埴輪(はにわ)ってありますけど、家の形をした土器を見たことがある方も多いかと思います。でも、ここでは埴輪よりも最近の別のものを起源として紹介しています。もちろんその理由はちゃんとあります。大工の見習いが五重塔などの木造建築をミニチュアで再現して構造などを学んだのは有名なお話ですが、それよりも簡単で現代でも目にする、あるペーパークラフトが模型の起源であることをお話しています。

ちなみに、「住宅白模型って何だろう?」を知ってもらうための動画があります。観て頂けると嬉しいです。

基礎学習

ここでは建築模型に使われる道具と材料のお話とそれらを入手するためのショップも紹介しています。さらに実際の切り方・測り方・貼り方についても説明しています。

実は、どの学校の講義でも共通して、講義の前までに一度観てもらっている動画があります。2020年8月に当時運営していたYoutubeチャンネルでのオンライン模型講座の録画が良い予習材料になります。

動画は約90分と長いのですが、視聴者さんとのやり取りもありつつ、かなり濃い内容になっていて、視聴するだけでも価値がある動画ですのでぜひご覧ください。

実技

「サイコロづくり」は模型の基礎を覚えるためには必須のツールです。私も某模型室の管理業務を受け持った際に初めて作りましたし、アルバイトさんの面談なんかにも使われます。「サイコロづくり」はオンライン模型講座の録画にも収録されています。もう一つ、「スチレンボード」についても同録画でお話しています。この情報は外部の模型講座や巷の通信講座にはない目からうろこのお話になります。この「サイコロづくり」と「スチレンボード」の2本立てで実技を深く学んでもらいます

サイコロの作り方は以下の動画が参考になります。

話題

今回は5つの話題を取り上げました。どれもtecoの経験から得た情報です。世界の動きを交えてお話しています。

例えば、メタバースでは「マインクラフト」の「違法建築」コミュニティの紹介や、メタバースゲームのお話もしますし、国土交通省が力を入れている「プラトー」にも触れています。

その他についても、例えば、実際に3Dプリンターを所有していたり、ChatGPTをアプリや公式サイトのチャットボットに導入してみたりと机上の空論ではない建築模型との関わりも踏まえたリアルな体験を伝えるようにしています。

まとめ:伝えたいこと

tecoが学生の皆さんに伝えたいことは主に2つです。その2つを最後に書かせていただきます。

”きれい”より”伝わる”模型を作ろう

一つ目は、どんなにきれいな模型を作っても、伝わらなければ意味がないということを感じてもらえれば良いなと。きれいに作ったのは良いけれど、コンセプトをより深く考えプランに落とし込んでいくための時間が無くなっては困りものです。美しいより伝わる模型を効率良く作れるようになれば、コンセプトを強化し、より良いプランづくりに結び付くはずです。

検索する力を磨こう

「話題」はただの雑談ではなく、どれも建築模型や建築の分野と大きく関わってくる情報をピックアップしています。近年話題のChatGPTも、情報としてある程度知っていれば以下のようなアプリアイデアだって生まれます(※)しtecoのような模型職人でも作ることができます。民主権を得た最新技術は今後の働き方や暮らし方をも変えてしまいます。目まぐるしく変化する時代を如何に検索し、触れ、活用できるかはとても重要です。

※tecoが作成したアプリです。ChatGPTが指定した人物になり切って会話をするように設定されています。ご存じの通り、返答が正確とは限りませんので参考程度に遊んで頂けると嬉しいです。

空想会話:世界の建築家
https://app.adalo.com/apps/553c214c-3651-4773-9ccb-8ea8ee812f40/screens/preview

ル・コルビュジェ(風?)との会話を楽しむ
ル・コルビュジェ(風?)との会話を楽しむ

以上が、tecoの特別講義の内容です。皆さんの反応は面白いです。居眠り派と積極派と静観派にきれいに分かれて3時間はあっという間に過ぎていきます。きっと、熟睡した学生さんも興味関心事になれば貪欲になって活動することでしょうから、この講義がそんな彼らの将来のヒント(寝てたけどw)になっていれば嬉しいです。

住宅白模型職人teco

住宅白模型を製作する職人です。
建築模型つながりのコミュニティを形成し「新もけると談話室」でイベント企画・限定動画の公開・チャットなどをしています。

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