家づくりをお考えの際に一番最初にすることとは何でございましょう?あるご家族の場合は住宅展示場に行くことだったそうでございます。各社ハウスメーカーの立派な住宅を前にワクワク胸弾むのではないかと思われます。そんな住宅展示場には住宅の模型が置かれております。皆様も目にしたことがあるやもしれません。リアルな住宅の模型がズラリと並んでいるとワクワク度もさらに増すものでございます。ところが、建築出身者ならお分かりのはず。ところ変われば置かれる模型も変わるということを。建築事務所を訪れると、そこに置かれている模型は住宅の白い模型ばかりでございます。
本日は、「ハウスメーカーはフルカラー模型、建築事務所はホワイト模型を好むのはなぜ?」というお話でございます。100%そうとは限りませんが模型の用途から察するとこのような見解ももちろんあるかと思われます。参考になれば幸いでございます。
ハウスメーカー編
先ずはハウスメーカーの営業担当者との会話(テコの実話を再現)でございます。住宅展示場のモデルハウスにお邪魔した時のことを想像してお読みくださいませ。
住宅展示場でのやりとり
何社か見学されましたか?
3社目かな
気になるメーカーはございました?
どうだろうねぇ・・・みんな同じにしか見えなくて。
この模型いいね。息子も興味津々だよ。
当社の過去事例を模型でご案内しております。ボク、お気に入りあるかなぁ?
この家、大きいからミニカーいっぱい置ける!
そうだよねぇ~、こんなお家良いよねぇ~
このようなやり取りが見学の際にございますのは、ハウスメーカーの営業担当者が常時待機しているからでございます。そこに気軽に訪れるご家族が完成模型や展示模型に分類されますフルカラーの住宅模型を目にする場合が多々ございます。
なぜ、ハウスメーカーがフルカラーの模型だけを並べるのかと申しますと理由はシンプルでございます。自社のデザインを実物と模型の両方でしっかり覚えて頂き、その中での生活の想像を膨らませて頂くためです。
こんな感じの住宅に皆さん住まわれてるんですねぇ。羨ましいなぁ・・・。
私も昨年家を建てまして。
弊社開発の地震に強い構造材のおかげで安心して暮らしています。
ここからハウスメーカーの”売り”にお話を移し、興味関心をハウスメーカーが提案するコンセプトへと進めるのでございます。営業マンによっては、まずは個人情報を最優先させてアンケート記入を求めたり、プレゼント企画への参加を押すのでございますが、いずれにしましても、フルカラーの住宅模型は、すでにある誰かの暮らしを鮮明に想像させるためにあると言っても過言ではございません。
フルカラー模型のメリット
色付きの模型の最大のメリットは「見てすぐわかるデザイン」でございます。本来備わっている模型の本質に色味と素材感が加わることで、よりリアルにハウスメーカーのコンセプトを理解することができるのでございます。モデルハウスに入る前からすでにそのハウスメーカーの特徴は掴めますが、ハウスメーカーの中にもバリエーションはございます。それらを立体のフルカラー模型で複数個見ることができるのです。
フルカラー模型のデメリット
ハウスメーカーの場合は特に強く感じる印象としまして「わが社のライフスタイル提案が他社より優れている」という点でございます。もし、貴方様がモデルハウスの外観に一目ぼれして中へ招かれたとします。そこで目にするフルカラー模型で更に気持ちは高ぶり、そのデザインの生活スタイル一択になってしまっていることが往々にしてございます。要するに「ハウスメーカーの提案に合わせたライフスタイル」を選択してしまう可能性があるのでございます。フルカラーの完成模型は、時として判断を鈍らせることがあるということでございます。
建築事務所編
続きまして、建築事務所の場合はどうなのでしょうか?「どうやって接点を持つの?」からお話を始めましょう。
建築事務所との接点の持ち方
どうやって建築事務所を探すんですかね?
最近はSNSで地域の建築家や設計事務所を探すかな。
SNSってやらないんですよ。他には?
建築家紹介サイトや検索サイトもいくつかありますよ。
へぇ~。「建築家紹介サイト」で検索すると見つかります?
見つかりますよ。一サイトだけじゃなく複数サイト利用して探してみてくださいね。一サイトだとお気に入りの建築家さんを取りこぼしてしまうかも。希望地域の建築事務所が見つかるように複数サイトで検索すると良いですよ。
ハウスメーカーは住宅展示場に行くという選択枠がすぐ浮かぶと思われます。ところが、地域の工務店や建築事務所は直接行くにも敷居が高く感じますが、その他の方法が意外と思いつかないというご家族もおありです。そんな時はネット上で検索することで気軽にご希望の地域の建築事務所をチェックすることができるのでございます。
建築事務所とのやりとり
続きまして、気になる建築事務所とのコンタクトに挑戦した場合(実話をほぼ再現)のお話をご覧くださいませ。
〇〇建築設計事務所 〇〇様
はじめまして。家づくりを近々考えている▽▽と申します。
〇〇様の設計スタイルが気になりましてメール致しました。
もしよろしければ資料など頂きたいのですがよろしいでしょうか?
どうぞよろしくお願い致します。
▽▽様
はじめまして。 〇〇建築設計事務所 〇〇です。
お問い合わせ頂きとても嬉しいです。
ご指定のご住所にパンフレットを郵送させて頂きます。
私共の事務所では、検討中に必ず模型を活用しています。
ぜひ事務所にもお越しい頂き、模型を手に取ってご覧ください。
それではよろしくお願い致します。
〇〇建築設計事務所 〇〇様
パンフレットが届きました。ありがとうございます。
住宅展示場ではフルカラーの模型ばかりだったんですけど、
〇〇さんはホワイト模型を作るんですね。
なぜなんだろう?と不思議に思いました。
もしよろしければ理由を教えて頂けませんか?
どうぞよろしくお願い致します。
▽▽様
パンフレットが無事に届いてよかったです。
私共は模型に色を付けません。最初の頃のミーティングは特にそうなんです。
理由は2つあります。
●色や素材を表現してイメージを固定しないため
●できるだけプランに集中してライフスタイルを描いてもらうため
いずれにしても、▽▽様ご家族の暮らし方次第で家づくりは変化します。
ホワイト模型はそんな理由で色を付けずに制作しています。
パンフレットについての質問もまたお気軽に送信ください。
どうぞよろしくお願い致します。
こちらの設計事務所の”売り”は、最初からイメージを固定することはせず、ご家族の暮らし方に着目した設計を立体的にして頂ける点ではないでしょうか。
ホワイト模型のメリット
建築事務所では必ずとは言えませんが、最初の提案時、または検討時に白い模型を制作してプレゼンテーションしてくださいます。上記のメールのやり取りにもありました通り、白いままの模型には「ご家族のライフスタイルを崩さない」という意図がございます。立体的なプレゼンをしてもらうことでお子様にもご理解とご意見を頂くことができる点もメリットと言えます。
ホワイト模型のデメリット
もし、ライフスタイルが明確でない、あるいは興味が他にあるご家族にとって、ホワイト模型は単に白いだけの模型に見えるかもしれません。最初からハウスメーカーの提案をフルカラー模型で提示してもらえることを望むご家族もおいでかと思われます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はハウスメーカーが好むフルカラー模型と建築事務所が好むホワイト模型を用途によって比較させて頂きました。どちらが良いというお話ではございません。家づくりをお考えのご家族に合う方法を模型の観点からご紹介させて頂いた次第でございます。
家づくりを始めるご家族の目線でまとめさせていただきますと、
- ハウスメーカーのフルカラー模型 = ライフスタイルをハウスメーカーの提案にゆだねたい
- 建築事務所のホワイト模型 = ライフスタイルを基に建築事務所に提案してもらいたい
ということが言えるかと思われます。
住宅模型はただ作るだけのものではございません。また、ハウスメーカーはホワイト模型を、建築事務所はフルカラー模型を作らないわけでもございません。数々の用途に合わせた模型でより良い家づくりのサポートをしているのでございます。このお話がこれからの家づくりにお役に立てば嬉しゅうございます。