テコです。
設計事務所や工務店、ハウスメーカーでは提案や検討に住宅の白い検討模型を活用します。その際の子供たちの反応を知っているか否かで今後の家づくりは大きく変わります。もし、家づくりに住宅模型を活用していないようでしたらぜひ設計事務所や工務店、ハウスメーカーにお願いして取り入れてもらうと良いと思います。今回は模型の本当の威力を物語るお話をご紹介します。あわせて、息子が発した3つの問いかけが意味することもまとめています。
家づくりミーテイングでの出来事
ある設計事務所の若手設計者が家づくりを検討中のご家族とのミーティングを担当しました。よく理解してもらいたいという思いで、前の晩に分解できる家模型を作り上げたそうです。
当日、各資料と一緒にテーブルの上に昨晩の完成模型を置きました。その分解できる家模型を見て興味津々のお母さんは、
「わぁ〜!すごぉ〜い!」
と目をまん丸にしてハイテンションです。感情を豊かに表現する方なんですね。対するお父さんは腰を上げてじっくりと覗き込みます。触って良いか尋ねると手を伸ばして屋根を持ち上げました。どうやら書斎を探しているようです。お二人には男の子のお子様がいらっしゃいます。キッズスペースで遊んでいたのですが、何やら異変に気づいてキッズスペースからお子様も近づいてきました。恐る恐る覗き込みます。そして、お父さんとお母さんに話し始め、模型に手も伸ばしています。
それからしばらくは設計者そっちのけで家族会議でした。
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最も気持ちの変化があったのは誰?
さぁ、ご家族は3名登場しました。最も心揺さぶられたのは誰だと思いますか?
正解はお子さんです。ハイテンションなお母さんではありません。その理由を説明します。お父さんとお母さんは前もってミーティングに集中していました。だから、期待や不安を抱えながらもすでに気持ちはミーティングにありました。ところが、お子さんは別のモノに気持ちが向いていました。キッズスペースで遊んでいたおもちゃです。お母さんのハイテンションな声で気づいたとはいえ、その後、ご家族で会話が弾むまでになるんですね。
関心のなかったモノへ気を移すにはかなりの説得や理解が必要です。ましてや子供です。自分が面白くないものには一切触れてくれないのは親御さんならご存知なはず。私もそうでした。手を焼いて大変ですもんね。建築模型の威力はそれくらい強力なんです。
問いかけ1:分かりやすい
子供たちが模型に興味を持つのは必ずしも建築模型をおもちゃと認識しているわけではないようです。その理由に、私の息子も5歳位には家づくりの認識を持っていたからです。
「おうちつくるの?」
その当時、私たち家族は住宅展示場へ遊びに行く週末を楽しんでしました。どのハウスメーカーも子供たちを誘い込むことで必死です。みなさんもご経験あるかと思います。やれお菓子だ、ミニカーだ、お面だ、風船だってね。でも、誘い込むことに成功したその後の展開は共通しています。商談の邪魔にならないようにとキッズスペースへ送り込まれるわけです。これも皆さんご経験お有りかと思います。その時、息子が発した一言がそれでした。
「息子も家づくりに参加したいよね・・・」
結局、大人は大人で話を進め、息子は何もなかったかのように(遊び足らず駄々をこねますが)住宅展示場を後にしたのでした。
今、家づくりはストップしていますが、もし本当に新築一戸建ての計画を始めたら住宅模型と一緒に進めていきたいって思っています。子供たちも家づくりに参加できる唯一のツールが模型なんですから。
問いかけ2:伝わりやすい
息子が8歳になったある日、仕事場で作っていた分解できる家模型を覗き込んで言いました。
「ねぇ、ボクのへやある?」
もちろん、お仕事で製作している住宅模型ですから息子の部屋はないのですが、私達が住むなら・・・というお話をすることができました。なんか感慨深かったんですが、もう8歳にもなると間取りについて話せるようになるんですね。ガチャガチャでゲットした小さなキャラクターを模型の中で歩かせながら何やら物語が展開していく可愛らしい姿が私の記憶に残っています。
模型は、時に設計者の説明より分かりやすいもので、かつ、設計者に私達の思いを伝えやすいものなんです。
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問いかけ3:トラブらない
息子がちょっとビックリな提案をしたことがあります。
「パパさぁ、かいだんこっちにしないの?」
「ん?なんで?」
「だって大きなまどのじゃまだよ」
なるほど、吹き抜けに直階段がある模型を製作中だったのですが、息子はその階段が大窓に掛かっているのが嫌だったみたいです。もちろん、階段が窓に掛かっている意味はプロが間取りを見ればわかるのですが、流石にその時は「そうだね。そのほうが良いよね。」って返しました。
まだ8歳児だというのに空間の違和感を察知するなんて。そんなところを見ているとは思いも寄りませんでした。これは大人たちにも言えることです。図面だけでは窓に階段が掛かっていることも気づかない場合があると思います。でも、建築模型なら感覚で察知することができます。気づいた分だけ後悔は減り、クレームやトラブルは回避されるのです。
まとめ
自宅で住宅白模型職人をしていて、他の方が普通なら経験できないようなことを例にまとめここまでお読み頂きました。ありがとうございます。
子供たちが住宅模型に興味を抱く意味ってなんだろう?と考えた時、少なくとも、
・分かりやすい
・伝えやすい
・トラブらない
ことが今回ご理解頂けたかと思います。結論、家づくりに必須と言っても良いコミュニケーションツールは模型ということをお伝えしたかったのです。そして、2022年は暮らしにフォーカスした充実の家づくりが叶う年です。なぜなら、もう構造や設備や素材やデザインなどの物質要因はほぼ標準装備されて当然のところまできているから。
家づくりを進められる予定の皆さん、ハウスメーカー、工務店、設計事務所に「模型って作ってもらえます?」と必ず聞いてみましょう。作ってくれない家づくりは2021年でおしまいです!