住宅白模型職人tecoです。神奈川県横浜市から岩手県岩手郡雫石町へ移住して半年が経ちました。随分な突っ走り具合は記事(奨励賞を頂いたよ!)にまとめていますので読んでもらえると嬉しいです。
今回は「地方で建築模型のお仕事ってどう?」というお話です。半年間で得たリアルな感想ですので最後までお読み頂けると参考になるかと思います。もし移住して模型職人を始めたい、あるいは地方で独立することをお考えの方は要チェックです。
集客
個人で独立してお仕事すると最も大変なのが「集客」ですよね。リアルな営業からチラシ、SNS、友人知人、電話やメールなどなど。
移住して思ったんですけど、そもそも集客をほとんどしていなかったとはいえ、上記のような集客ってどこに行ってもそれほど差がない時代だなって感じています。それどころか、最初に紹介した記事を読んで頂ければわかると思うんですが、最も大事なのはリアルな営業でも、チラシでも、SNSでも、友人知人でも、電話でも、メールでもありません。
集客の要は昔ながらのアナログな「ご近所さんたち」
だったんですよね。tecoは10年以上前からリモートワークのような働き方をしていたので、人とのつながりが正直薄い人間でした。ところが、移住してからはガラリと変わって、昔ながらのご近所づきあいが実は最強の「集客」だったと実感しています。
ただ、紹介記事の通り、模型製作ではなくアプリ開発という意外なルートから模型に繋がるケースなんです。住んでいる町が抱えている問題や身近に感じた疑問にどう向き合うか。都心にいると関わりたくないことも、移住してみると割とすんなり取り組んでしまえるのは不思議です。
収入
金銭的な結論からいうと、収入は3割ほど落ちています。これはかなり厳しいですが、アパート暮らしから実家(実家も雫石町に移住)暮らしへと変わり、ほぼ家賃分と考えれば何とかなるダウンではあります。
ところで、以前住んでいた横浜市の近所の中古住宅に対して、雫石町の中古住宅は肌感で5分の1くらい。賃貸アパートも半分以下です。しかも畑(家庭菜園)や駐車スペース3台分(しかも雫石町は車庫証明が要らない!)とかおまけがつく物件もあり、家賃5万円なんてこともありますから探すだけでも楽しいんです。まぁ、それなりの民家だったりもしますけどね。
家計バランスが変化しトータルしてみると±0に
ということになります。そもそも今どきの集客をほとんどしていないので、ガッツリ集客し直せば収入を戻すことも可能かもしれません。それでも集客しなくても済んでいるのは、一つ目の「集客」で説明したアナログな人とのつながりが何より大きいと感じているから。
納品
地域に根差したビジネスなら、納品は近場になるわけですが、tecoの建築模型は全国が対象です。横浜市は日本の中心に位置していましたから全国ほとんどが翌日には納品可能でした。
ところが、岩手県雫石町からの発送だと、今まで翌日に納品できていた四国のクライアントさんには翌々日じゃないと届かないんです。結構納品日に注意が必要になりました。
全国対応はできても到着日が変わるので要注意
実際、四国への初発送で致命的なミスをしてしまうところでした。とはいえ、一度分かってしまえばうまく調整してこれまで通りの納品ができます。
時間
なぜ時間を入れたかというと、移住してから畑仕事や草むしり、町内会との交流が圧倒的に増えたからです。地域住民とのつながりができたと同時に、そのための時間も増えました。
だから仕事に充てる時間が大幅に減った、というわけではありません。時間の使い方に変化が生まれたんです。
接するモノが変化しシンプルな暮らし方に自然とシフトしていった
と言えば良いんでしょうか?何でもある都心部とは違って、必要なモノにしか時間を掛けなくなったようです。遊びに行く先も、買い物に行く先も随分と変化したおかげで、暮らし方がシンプルになったように感じます。
仕入れ
tecoは住宅の白い模型を専門としています。けど、たまに色も付けます。そのたまにつける色に苦戦しました。なぜなら、今までなら電車で近くの大手画材屋や大型書店などに行けば大体の色紙が揃ったからです。
きっと「ネットで取り寄せれば?」と思うでしょう。でも、意外な障壁があったんです。紙1枚から仕入れられるオンラインショップがほとんどないんです。あっても50円/枚のために送料700円って嫌じゃないですか。
カラー紙を1枚取り寄せることに苦戦する
これじゃあ、地方での模型製作業は厳しいです。白模型を専門にしていたから良かったものの、カラー模型、しかも既製のカラー紙で作ってきた建築模型職人にとってはかなり痛いデメリットです。
「書店や画材屋で注文すれば?」というのもダメなんです。100枚単位とか1000枚単位とかじゃないと取り寄せられない。しかも、届くまでに2週間掛かるとか言われちゃいます。ひどいところではそれだけで別途3,000円取られるんです。30年前にタイムスリップしたような融通のなさです。
まとめ
インターネットが当たり前になった今、その恩恵は大きいのですが、それでもネットでは解決しづらい側面って気づかないところで結構あります。欲しい紙1枚の購入に躊躇してしまうのがまさにそれ。
ということで、建築模型職人が移住して直面する最大の問題点は「集客・収入・納品・時間・仕入れ」の5つの中で
仕入れ
ということになりました。収入が欲しいのは正直なところです。でも、そもそも作れないとなるとね。解決策は、都心の知り合いに買いに行ってもらうか、都心に行った時に買い溜めすること。それくらいです。アナログですね^^;