初心者が建築模型の作り方を通信講座で学ぶなら「がくぶん」一択である理由

建築模型や住宅模型の作り方を初心者が学び、資格を持ち仕事にする方法の一つに通信講座があります。この通信講座、もちろん悪いわけではないのですけど、受講するには気を付けるべき点があるのです。そのお話をポイントを絞ってまとめました。現役模型職人の正確な情報です。参考になれば幸いです。

そもそも建築模型って?

建築模型は色んなジャンルがあり、作るサイズや素材、用途によっても様々です。そのうち、今回ご紹介するのは「住宅模型」です。想像しやすいところでいうと、住宅展示場のモデルハウスに置かれているカラー模型です。

フルカラーの住宅内観模型を良く見るでしょう
フルカラーの住宅内観模型を良く見るでしょう

最近では家庭用の3Dプリンターも普及してきているので、「3Dプリント住宅模型」も見ることがあります。とはいえ、まだ高額ですし手作りのほうが製作途中の修正などに対応しやすいのでプレゼントや複数同じものが欲しい場合以外はさほど見られません。

最近では3Dプリンター製もある
最近では3Dプリンター製もあるけれども、まだまだ一般的ではない

他にも建築模型としてみる機会が一般的に多いのは「マンション模型」かと思います。バブル前までは数百万円から一千万円越えの模型をマンションギャラリーで見ることもありましたが、今はこじんまりとした模型か、場合によってはCGパースのみということもあります。

都市型高層マンション外観模型
都市型高層マンション外観模型

実際はこのような大きかったり精巧だったりする模型はほとんど作られません。理由は2つあります。1つは、模型に大きな予算を投じられるクライアントや施主はそう相違ないから。もう1つは、このような模型製作は非常に日数を要します。そのような時間を掛けられないから。

では、最も多く作られる模型はどんな模型かというと、次のような「外観模型」「白模型」になります。

外観だけの住宅模型や床など一部に色が付いただけの内観模型
外観だけの住宅模型や床など一部に色が付いただけの内観模型もある

これらの模型の多くが、外観や間取りの確認のために作られます。簡易に作られた模型とはいっても、施主やその家族が理想とする暮らしにふさわしい家であるかを立体的に検討するために存在するんです。プレゼントや思い出のための模型とはまた全く違った意図があるのだと区別して理解頂けると嬉しいです。

建築模型の資格って?

建築模型を製作する職人が主役級のドラマがあるんですけど、その職人は「建築模型士」と名乗っています。でも、別に資格を持っている意味ではなく、肩書を説明するためだけだと思うんです。現にtecoも「建築模型職人」と名乗っています。

では、実際に資格があるのかというと、・・・ありません。皆さんが目にする「建築模型士」とか「建築模型技工士」とかその他資格のように見えるすべての名称は、単に認定証や卒業証明書と同じで、何の効力もありません。ないどころか、ある特化した業界でしか通用しません

そして、最も注意すべきことなんですが、「○○協会公認」とか「○○協会認定」とかいう通信講座はお勧めしません。細かくは書きませんが、すべて裏でつながっています。

ある通信講座会社は名前が違うだけで教材も協会も一緒です
ある通信講座会社は名前が違うだけで教材も協会も一緒です

結論、資格はなくても模型製作のお仕事はできます。ぶっちゃけたお話、実力か営業力があれば副業としても複業としても活動できますし、tecoのように本業としてもやっていくことは可能です。

通信講座「がくぶん」一択の理由

では、世間でも良く知られた通信講座最大手の「がくぶん」はどうでしょう?

実は、がくぶんの教材をチェックする機会があり、冊子、道具材料、動画、添削資料をマジマジと拝見することができました。

がくぶんの教材は有名な模型会社が監修
がくぶんの教材は有名な模型会社が監修(ケース中身は別社)

その他のおすすめできない通信講座2社(ネット検索すると必ず”S”と”R”が出てきます)ももちろん内容をチェック済み。ちなみにユーキャンは講座が開講されていないのではなく、撤退していますので今後もないものと思われます。

話を戻します。がくぶんは有名な模型会社の設立者の方が監修しているだけあって内容がしっかりしていますし、動画でも丁寧に説明しています。建築の素人で全くの初心者でしたら、図面の読み方なども揃っている資料の確保という意味でも良いかも知れません。

「がくぶん」に対して、お勧めできない2社(SとR)ですが、口コミ同様、内容が薄いだけではなく、付録のCADやCGなど盛りだくさんのように見えますが、単なる体験版です。写真のケースに入った模型道具一式は非常にお粗末なもので見繕っている印象を持ちます。監修者自身のスキルの低さを感じざるを得ません。また、公式サイト内のレビューも”さくら”だらけ。よって、「がくぶん」以外はおすすめしません。

こっそりお伝えしますが、通信講座を申し込む前にメルカリをチェックしてしてみてください。何(教材とか?)か転がっているかもしれません。

通信講座のメリットは?

「がくぶん」に限定してまとめます。

  • 効率良く必要な内容のみ学べる
  • 道具や材料も付いてくる
  • 添削がある
  • 初心者は高額ではない価格で学べる
  • いつでもどこでも都合に合わせて学べる
  • 就業活動をサポート(斡旋ではない)

全くの初心者にとって学びやすい環境になっています。他の通信講座に比べて付属の資料が少ない印象ですが、他の通信講座は余計な情報も詰め込んでいるなどしてカサ増ししている印象がありますが、がくぶんは要点を絞っている点で優れています。就業サポートは斡旋ではありません。もし斡旋している通信講座があった場合は違法行為になるそうです。ご注意ください。

通信講座のデメリットは?

一般的な通信講座のデメリットをまとめました。

  • 資格は必要ない
  • 資格がなくても仕事ができる
  • コミュニティがない
  • 卒業(修了)後はサポートがない
  • 応用力が付かない
  • ビジネススキルは学べない

ハンドメイド系の通信講座の共通点ともいえることが並びます。特にコミュニティがなく、卒業後は孤立状態になるため、応用力もビジネススキルも身に付かないまま社会に投げ出される場合が多いので受講に慎重には慎重にならざるを得ません。

まとめ

通信講座で学べる模型は、主に大手ハウスメーカーが欲しいジャンルの模型のみです。悪く言うと、ハウスメーカーが安く発注できる建築模型士を量産する場所とも言えるんです。

悲しいお話ですが、はじめは時給数百円程度にしかなりません。これは確実です。なぜなら、効率的な講座ではあっても、効率的な作り方講座ではないからです。

その補足としてこのサイト「もけると」を上手く使って頂けると嬉しいですし、330円/月でコミュニティに参加することもできます。バスの運転手や放送作家、大手の模型室管理者や趣味、見る専、ママ模型士、建築学生まで様々な方が参加しているゆるいコミュニティです。

白い模型がメインのコミュニティ(深い意味あり!)
白い模型がメインのコミュニティ(深い意味あり!)
住宅白模型職人teco

住宅白模型を製作する職人です。
建築模型つながりのコミュニティを形成し「新もけると談話室」でイベント企画・限定動画の公開・チャットなどをしています。

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